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第2話




乃月衣座子。じいちゃんが連れてきた女は変な名前だった。
じいちゃんと母さんが言うには、オレと彼女は幼い頃良く遊んでいたらしい。
勿論、全く覚えていないが。あんなかわいい人と遊んでいたなんて…。
しかし…なんでこの子は今、オレの家でくつろいでいるんだ!!?
飛丸は女が苦手であった。だが衣座子はそんなことお構いなし…というか、かなり寛いでいる。
飛丸の母親の出したどら焼きも、既に食べ終わっていた。
「衣座子ちゃんは、あれからずっと愛媛にいたの?」
そして飛丸の母親と話が盛り上がっていた。
「んー、お父さんが仕事で全国回ってるから…
静岡も行ったし、東京も、長野、和歌山…あと鳥取とか、いろんなとこいました。
愛媛は住んでいたらしいけど、小さい頃だったから覚えてないです。」
「そうなんだー。引っ越してばっかりで大変ねぇ…。ねぇ、明日からもう学校行くでしょ?」
「はい」
「じゃあ飛丸、衣座子ちゃんをちゃんとつれてってあげるのよ」
まさかの母親の発言。
「マジっすか…」
ため息が出る。
と、衣座子がジッと見つめてきた。な…なんだよ。





翌日。飛丸は朝からため息交じりで、衣座子を迎えに行く為に寺へ向かった。
飛丸の家と寺は小高い山の上にある。中学校は町の中心部に位置しており、かなりの距離がある。
無論、チャリ通ではあるのだが、それでも学校までは30分はかかる。
インターホンを押すとすぐに衣座子が出てきた。
「おはよう。」
とりあえず、挨拶…。
「……………おはよう」
何その間!!?この上なく平凡な挨拶をしたつもりだったが、なんかおかしかったのか?
衣座子はまたジッと見つめてくる。なんなんだよ。
「あの、学校まで遠いからチャリで行くんで…チャリ持ってきてください。」
なぜか敬語になってしまった。
「自転車…?」
「自転車です」
「自転車無い。」
「え!!? チャリで行かないと、間に合いませんよ」
「………」
まさか………二人乗りして行かないといけないのか!!?

飛丸が言った通り、学校までは遠かった。
途中、色々な物が見えた。
強烈な匂いの牛小屋、小さい駐在所、田植えしたばかりの田んぼ、そして長い坂道から見えた海。綺麗だった。
やっと家が現れたと思うと、すぐに学校に着いた。この辺りが町の中心のようだ。
四方を山と海に囲まれた極々小さな町だ。
中学も当然、小さかった。祖父から聞いた話だと、この町で唯一の中学らしい。
地震が起こったら耐えられないんじゃないか、とつい心配してしまうような建物だ。
飛丸に礼を言い、衣座子は職員室に向かった。
廊下ですれ違う生徒の誰もが衣座子を見て振り返る。
何回も転校を経験しているからもう慣れてはいるが、それでもいい気持ちにはならない。
職員室の扉を開けると、すぐに名前を呼ばれた。この人が担任の先生らしい。

桃太の星座は、しし座。今日の星占いで堂々一位だった。
ということで朝から上機嫌であり、髪型も手早く上手くキマった。
そのため、普段遅刻ギリギリで登校するのだが今日は早い。飛丸もまだ来ていない。
今日は本当に何か良いことがありそうだ。給食の余り物ジャンケンに勝つかもしれない。
担任のジテに叱られないかもしれない。帰りの道端で500円玉を拾うかもしれない。
「何を一人でニヤニヤしてるのよ。気持ち悪い」
ゆうなだった。
「お前いつの間に!というかこのイケメン桃太のどこを見てその言葉を発した?」
「どこを見てもあの言葉にたどり着く」
「なにをぉー? あ、オレ今日星占い一位だったからいいこと起こるかもよ。もしかしたら転校生来ちゃうかも!」
「来るわけないでしょ」
ゆうなの冷静な突っ込み。…ウザい。
しばらくして、飛丸が来た。
「おう、今日は珍しく遅刻ギリギリだな」
「うん、ちょっとね。」
「朝から新聞の四コマ漫画のオチがツボに入ったか?」
「あんたじゃないんだから、そんな訳ない」
また、ゆうなの突っ込み。…もう気にしない。
担任の後藤が入って来て、ホームルームが始まった。
「今日は皆にお知らせがある。実は」
「先生! もしかして転校生!!?」
桃太が話を遮る。
「バーカ。まだそんなこと言ってるの?」
ゆうなの一言。
「そう、実はな、今日からこのクラスに仲間が一人増える」
「え!マジで!!? …聞いたか、ゆうな!これがオレの星占いの力だ!」
桃太は叫び声をあげる。
「じゃあ乃月、紹介するから入ってきてくれ」
乃月と呼ばれた転校生が教室へ入ってきた。




第三話へ行くぜ!
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